参院選投票日と同じ7月11日、日経新聞朝刊5面に「上海企業がプラダ買収交渉」という記事が載った。実現すればこれもブランドは欧州でありながら、会社の資本は中国という、ねじれ現象が起きることになる。
中国系企業が相次ぎ「ブランド」買収
7月8日のウォール・ストリート・ジャーナル電子版は香港の総合商社リー&ファンがこの数カ月間に、米国などでアクセサリーを販売する会社など7件のM&A(合併・買収)をしたと伝えている(一部にはライセンス契約を含む)。中国の目覚ましい経済力によってねじれ現象はもはや日常茶飯事なのだ。
資本の論理でブランドを買う中国系企業。しかし中国とブランドは必ずしも親和性があるとは思えないのも事実だ。ブランドがブランドたるゆえんは、長い歴史に培われた物語性にあるといわれている。消費者はその物語性に共感し、ブランド品を購入する。中国にも長い歴史があるが、ファッションでは歴史が浅い。
少し前だが、3月9日のウォール・ストリート・ジャーナル電子版の記事「復活を遂げた仏セリーヌ」によると、セリーヌが復活した要因の1つに中国でのハンドバッグ製造を中止したことを挙げている。セリーヌを傘下に持つ企業の大株主に中国資本が入っていないが、高級ブランドのイメージ確立のためだったという。「メイド・イン・チャイナ」の文字を世界のセリーヌファンが敬遠していると見たのだろう。中国だと製造コストを低く抑えることができてもそこに消費者が抱くセリーヌのイメージが重ならないのだ。欧州のブランドは欧州で作ることでねじれを解消したのだ。
5月25日のワシントン・ポスト電子版の記事も示唆に富む。中国政府は自国のブランド育成に熱心で、その手っ取り早い方法として海外企業を買収する中国企業に優遇税制などの支援策に積極的だという。ただ、中国企業の多くが政府関係者との調整ばかりに時間をさき、肝心の消費者のほうを向かないために失敗に終わるケースが目立っていると指摘する。
実は、日本のファッションメーカーもねじれ現象で苦杯をなめたことがある。その会社はバブル期に業績が好調だった時代のレナウンだ。英国の高級コートメーカー、アクアスキュータムを買収したが、主力市場の欧米で苦戦。長くレナウンの経営の足を引っ張った。日本の企業が英国の歴史ある老舗ブランドを買収したことに違和感を覚えた長年の欧米のファンが離れていったのだ。
ねじれ現象に苦しんだレナウンが、今度は自らが中国企業の傘下に入ることで生き残りを目指す。日本のレナウンファンが離れてしまうようだと皮肉なことに歴史は繰り返すことになる。ねじれ現象はどこでも一筋縄ではいかないのだ。
“ねじれ現象” ファッション業界でも :日本経済新聞: "- このページを Google ツールバーから送信"
0 件のコメント:
コメントを投稿